一般社団法人 日本形成外科学会

口蓋裂

1. 口蓋裂とは

口蓋裂は、癒合不全が口蓋の軟口蓋(口の中の天井部分で、後方の骨のないやわらかいところ)のみにとどまる軟口蓋裂と、硬口蓋(口の中の天井部分で、前方の骨のある硬いところ)にも割れ目がある硬軟口蓋裂とがあります。硬軟口蓋裂では、口蓋裂単独の場合と、口唇裂や顎裂を伴う場合があります。さらに、唇顎口蓋裂には片側のみの場合と両側の場合があります。

2. 口蓋裂の治療

口蓋を閉鎖する手術のことを、口蓋形成術と呼び、通常は生後1年から1年半頃に行われます。
口蓋裂の治療には、いろいろな手術方法が考案されています。現在広く行われている方法は、軟口蓋(口の中の天井部分で骨がないところ)を手術する軟口蓋形成術と、硬口蓋(口の中の天井部分で骨があるところ)も手術する硬軟口蓋形成術です。前者ではファーラー法がよく用いられ、後者ではツーフラップ法やプッシュバック法などが用いられています。

口唇裂の治療と同様に、国内の各施設それぞれに歴史と治療経験があり、多少の考え方の違いもあるようです。

3. 口蓋裂の治療により期待される効果

図1
図1

口蓋裂の手術を受けた患者さんにとって最も大切な問題の一つは、術後の軟口蓋の機能です。

ここには筋肉があり、口蓋裂のない赤ちゃんの場合には、飲み込んだ食物や飲み物が鼻に入り込まないように鼻への通路を閉鎖するような運動をしています(図1)。やがて言葉を話すようになると、カ行、タ行、サ行などの子音の発音を作るという最も大切な機能を果たすようになります。この機能は鼻咽腔閉鎖機能と呼ばれます。

口蓋裂手術の方法は進歩しましたが、それでも筋肉の量の不足や軟口蓋の長さの不足などがあり、問題が残ることもあります。また、正常言語獲得には、鼻咽腔閉鎖機能だけでなく、良い形態の上顎や良い歯列、口蓋の言語に影響する位置に瘻孔(穴)が残っていないことなど、いくつかの要素が複合的に関係していますから、言語聴覚士による評価とトレーニングが重要になってきます。

監修

監修者代表

一般社団法人 日本形成外科学会 
渉外・広報委員会 委員長:小山明彦

渉外・広報委員会(他監修者)

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