一般社団法人 日本形成外科学会

義眼床手術

1. 義眼床手術とは

けがや癌により、眼球やその周りの脂肪や筋肉などを切り取らねばならなくなることがあります。このような眼球摘出手術(眼球内容除去術、眼球摘出術、眼窩内容除去術など)を受けた患者さんは片目の失明だけでなく、見た目の面でも大きなハンディキャップを負うことになります。かつて多くの患者さんが、手術した部分を眼帯やガーゼで隠してその後の人生を送っていました。
この手術による喪失感や見た目の問題は、義眼を入れることで改善が得られますが、その義眼を適確に入れる場所の作成が必要不可欠であり、この手術を義眼床手術と呼びます。義眼を入れたときに、自然な見た目が得られるように良い義眼床を作ることが重要です。

2. 義眼床手術の治療法

図

眼球やその周りの脂肪や筋肉などが切り取られた後の状態を無眼球眼窩と呼びますが、切り取られた部位や量によってその程度に差が生じます。残された組織だけでは義眼を入れる場所が確保されない場合に、義眼床手術が必要となります。
結膜嚢(狭義の義眼床)と言われる義眼が直接入る空間と、義眼台と言われる眼窩腔の両方をもって義眼床となります。結膜嚢再建のみで良いのか、義眼台の再建も必要なのかはそれぞれに病態によって検討する必要があります。更には上下眼瞼の再建も必要な場合もあります。口腔粘膜移植や、植皮、皮弁移植などを行うことで義眼を入れる場所を作成したり、義眼台としてレジン、シリコン、ハイドロキシアパタイト、肋軟骨などを用いたりします。この他必要に応じて、まぶたの凹みに対して脂肪注入などを行ったり、下まぶたの垂れ下がりに対して耳介軟骨移植などを行ったりすることで、見た目の改善を図ることもあります。

3. 義眼床手術の治療により期待される効果

義眼を入れることが可能となりますので、自然な見た目が得られるようになります。よりよい見た目を得られるようにするために、また加齢などにより変化するために、必要に応じて修正術を行うことがあります。

監修

監修者代表

一般社団法人 日本形成外科学会 
渉外・広報委員会 委員長:小山明彦

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