一般社団法人 日本形成外科学会

顔面骨骨折

1.顔面骨骨折とは

「顔」は衣類で隠すことのできないため、とてもケガを受けやすい部位です。

「顔」のケガでは皮膚・皮下組織のみならず、顔の骨格を形成する骨や、神経・涙の通る管といった様々な機能を持つ構造物が損傷される可能性があります。

一方、「顔」は他人から見られる部位であり、機能のみならず整容的な治療も望まれます。

われわれ形成外科では、顔面という特殊部位を扱う専門家として、機能と整容性を両立した治療を目指しています。

2.顔面骨とは

図1:顔面骨骨折が生じやすい部分
図1:顔面骨骨折が
生じやすい部分

顔面骨とは顔面の骨格を形成する骨のことです。非常に複雑な形をしており「顔」の形態と機能に重要な役割を果たしています。

顔面骨骨折が生じやすい部分として(図1)、

  • 前頭骨:額の骨
  • 眼窩:眼を納めている箱型の骨
  • 鼻骨・篩骨(しこつ):鼻とその奥にある骨
  • 頬骨:ほほ(頬)の骨
  • 上顎骨:上の歯茎と鼻の付け根とその周囲の骨
  • 下顎骨:下の歯茎と下あごの骨

があります。

3.顔面骨骨折の構造・考え方

顔面骨骨折の構造は車のボディー(バンパー)にたとえると分かりやすいと思います。

つまり、車のボディー(バンパー)は衝撃が加わった際に、その中いる搭乗者を守るために、つぶれることで衝撃を吸収する様な構造になっていますが、顔面骨も衝撃によって骨折することで衝撃を吸収し大切な脳を守る構造になっています。

そして顔面骨骨折を治療する目的も、車の修理と同様です。どのようなときにつぶれたボディーやバンパーを修理するのかと言いますと、

  • ドアが開かなくなったり閉まらなくなったり、顔面骨では上の歯と下の歯がかみ合わなくなったり・口が開かない・閉じない状態になったとき…これは修理が必要でしょう。
  • つぶれたバンパーがタイヤに引っかかっているとき、顔面骨では骨折した部分に眼球を動かす筋肉や噛むための筋肉が挟まって動かなくなったとき…これも修理が必要です。
  • バンパーが割れたことでウインカーの電気コードが切れたとき、顔面骨の骨折で神経が挟まってしまったとき…これも修理が必要です。
  • つぶれたバンパーが格好わるいと感じたとき、「顔」に置き換えると機能的には問題ないものの整容的に治療を望む場合…このような理由で修理することも多いでしょう。

4.顔面骨骨折の治療方法

治療は、骨折でずれた骨を元の位置に戻し固定するために手術が行われます。部位によっては緊急に手術をおこなう必要のあるものや、1~2週間もするとずれた位置でくっついてしまい治しにくくなる骨折もありますので、受傷したら早期に形成外科を受診することをおすすめします。

部位によって治療方法が異なりますので、詳細は各々のページをご覧ください

監修

監修者代表

一般社団法人 日本形成外科学会 
渉外・広報委員会 委員長:小山明彦

渉外・広報委員会(他監修者)

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