一般社団法人 日本形成外科学会

キャリアパス

実例紹介

現在、ご活躍の先生方に、これまでの経歴についていろいろとお聞きしましたので、ご参考にしてください。

P さん(39才男性、A大学講師、卒後14年目)

実は初期研修は、消化器外科で行っていました。将来外科系に進もうとは思っていましたが、具体的にどこという決め手がなく、それならば、全身管理を含めた外科でもということで、消化器外科で研修をスタートしたわけです。2年目には麻酔科の研修を6ヶ月行いました。

2年目のときに、食道癌の切除・再建手術があり、そこで初めて形成外科の仕事を知りました。単純に、すごいな、と思いました。血管吻合もそうでしたが、なにかこう、新しく作ってしまうという発想が、それまでに経験したことのないものでした。
それで、形成外科に興味がでて、知り合いの先生から形成外科の医局を紹介してもらったという感じです。

まず1年目は大学で、その後関連病院で3年間、基本的な手技を教わりました。
それから、やはり再建がどうしてもしたくて、5年目から2年、がんセンターで研修させてもらいました。
7年目からは、また大学に戻っています。その年に専門医を取得しました。関連病院で十分症例を経験させてもらってましたので、すんなり取ることができました。

同じ年から、教室とコラボしている基礎系の研究室と共同研究に関わらせてもらい、細胞培養系の実験を始めました。
臨床を行いながらでしたので、たいへんでしたが結構面白かったです。形成外科は臨床と基礎実験が比較的近いテーマが結構あるんだな、と思いました。
幸い、4年である程度の結果が出ましたので、博士号を取ることができました。

今は、後進の指導と自分自身の臨床テーマで、毎日が忙しいですね。でも形成外科を選んでよかったと思っています。新しい手技を考え出したりするのが、性分に合っているのだと思います。

R さん(34才女性)

学生時代のベッドサイド・ティーチングで、顔面の血管腫の患者さんを担当したことがきっかけです。
患者さんは当時、私と同年代で、何回もレーザーを受けていました。だんだんと色が薄くなっていると言って、喜んでいました。
正直、最初はかわいそうだな、と思ったのですが、それを受け入れて、頑張って治療を受けている姿に心が動かされました。ハンディはあっても、それを助けてあげられるんだって。

卒業後は、すぐ医局に入り皮膚科と麻酔科と救急の研修を受けました。1年間です。そのあとは、ずっと研修病院を含めて形成外科です。
5年目に、大学の同級生と結婚しました。夫は耳鼻科をしています。
形成外科は比較的勤務時間が決まっているので、週の内、半分くらいは一緒に夕食を取ることができる感じでした。

29歳のとき出産したのですが、そのときは1年間、研究生ということで、臨床のデューティーを外してもらえました。
おかげで子どもが急に具合が悪くなっても面倒を見ることができましたし、患者さんに迷惑をかけなくてすみ、気分的にも楽でしたので、とても感謝しています。

今は、関連病院で週4日勤務しています。
主にレーザー外来を担当していますが、自分にはちょうどよいペースです。
将来的には、主人も開業を考えているので、一緒にできればよいかな、と思っています。やっぱり、きれいになって喜んでもらえるのが一番嬉しいので、形成外科でよかったかなと思います。

S さん(30才男性)

初期臨床研修では、外科を中心としてローテンションをしました。
形成外科は、他の外科と違って、ほぼ全身を診ることが多いので、腹部外科、胸部外科だけでなく、脳神経外科、整形外科での研修が役に立ちました。耳鼻科も回れたら、よかったかもしれません。

後期研修は、3カ所くらい見学にいって、雰囲気で決めました。
スキルアップが一番大事と思ったので、あまり大きくない医局がいいかなと、という感じでした、はい。
ほぼ全部の手術を見られるし、結構やらせてもらえるので、満足してます。専門医申請に必要な症例は、もう十分です。

で、実は、来年からドイツに留学予定です。
教授の知り合いを通じて紹介してもらって、去年、見学に行ったんですが、結構面白そうなんで、1年くらい外の空気を吸ってきてもいいかな、くらいの感じです。ライセンスはないですが、少しはオペをさせてもらえるみたいです。

その後のことは、あまり考えてませんが、好きな再建とか、クラニオができればいいかなと思ってます。
開業はまだ考えてませんが、美容外科にも興味があるので、そっちもできればと思ってます。