一般社団法人 日本形成外科学会

太田母斑・異所性蒙古斑(青あざ・真皮メラノーシス)

1. 太田母斑・異所性蒙古斑とは・太田母斑・異所性蒙古斑の概要

図1:青アザの性状(深いところにメラノサイト)
図1:青アザの性状
(深いところにメラノサイト)

いわゆる青あざと呼ばれます。青あざは色素細胞(メラノサイト)が皮膚の深いところ(真皮)に集まって出来るアザで(図1)、生まれつき又は生まれて間もなく出来るものや思春期以降の大人になってから出来るものがあります。

図2:蒙古斑(みんなによくあるもの)
図2:蒙古斑
(みんなによくあるもの)
図3:異所性蒙古斑
図3:異所性蒙古斑

生まれつきの青あざの代表が蒙古斑です。蒙古斑は生後1週から1ヶ月ころまでに、青いシミがお尻や背中の下部にみられるもので、胎生期の真皮メラノサイトの残存と考えられています。日本人にはほぼ100パーセントにみられ誰でも知っている「あざ」のひとつですが、5,6歳までに自然に消失しさほど問題にはなりません。ところがまれに通常の部位以外にも蒙古斑がみられることがあり、これを異所性蒙古斑といいます。

図4:太田母斑
図4:太田母斑

思春期以降の大人になってからできるものの代表が太田母斑です。太田母斑は目の周りや頬を中心とした片側顔面にできます(図4)。思春期以降の女性に多いのが特徴ですが、乳児期から濃くなっていくものや両側に出来るものもあります。また、肩の周りにできる同じ様なアザは伊藤母斑と呼ばれます。

2. 太田母斑・異所性蒙古斑の治療法

お尻や背中に見られる蒙古斑は通常5,6歳までに自然に消失しさほど問題にはなりません。異所性蒙古斑といえども、動揺にその大半は学童期までに消失することが多く、蒙古斑同様治療の必要はありませんが、なかには青いシミが学童期になっても残る場合があります。
しかしその大半は成人までに消えることが多く、放置しておいても結構ですが、衣服に隠れない露出部などは患者の精神的苦痛を緩和するために治療の対象になることもあります。

太田母斑や伊藤母斑のような後天性の場合には、自然に消退することはありません。
基本的な治療としてはQスイッチレーザー照射を行います。現在臨床にはQスイッチルビーレーザー、ヤグレーザー、アレキサンドライトレーザーなどが用いられ、レーザーの種類により多少の経過の違いや治療回数の違いが見られます。

いずれのレーザー治療にしろ治療中は痛みを伴うため、幼少時の治療には全身麻酔を要し、そのため入院が必要なこともあります。
また治療には健康保険が適応となりますが、レーザーの種類や適応となる限度があります。そのため、それを超えるものに関しては保険適応外の治療となることもあります。詳しくは形成外科担当医にご相談ください。

3. 太田母斑・異所性蒙古斑の治療により期待される効果

治療はおおむねうまくいきますが、場合により軽い色素沈着を残したり色素脱出をきたすこともあります。