一般社団法人 日本形成外科学会

キャリアパス・研修

Q. どのようなサブスペシャルティがありますか?いつごろ決めるのですか?

A. 形成外科の対象とする疾患は非常に幅広く、外傷、熱傷、頭蓋顎顔面外科、唇裂・口蓋裂、手・足、その他の先天異常、母斑・血管腫・血管奇形、頭頚部再建、乳房再建、熱傷、褥瘡・難治性潰瘍、顔面神経麻痺、リンパ浮腫、レーザー、美容外科など多くのサブスペシャルティがあります。

しかし、形成外科という診療科の特性上(対象疾患が多い)、あえてサブスペシャルティを決めず、外科系のプライマリケア・ドクターとして活躍されている先生も数多くいます。

サブスペシャルティをいつ頃までに決めなければならないというわけではありませんが、形成外科専門医を取得する頃に決めることが多いようです。

Q. 開業する形成外科医は多いですか?

A. 開業する形成外科医の割合は他の診療科と比較して特別に多いわけではありません。
開業する場合、形成外科・皮膚科、形成外科・美容外科などといった形が多いようです。

Q. 海外留学をする形成外科医は多いですか?

A. 海外留学をする形成外科医の割合そのものはそれほど多くはありませんが、最近は増加傾向にあります。
留学期間は数か月と比較的短期の場合から数年にわたる長期留学をする形成外科医もいます。

Q. どのような年代で基礎研究に興味を持つ先生が多いですか?

A. 基礎研究を始めるのは専門医取得の前後あたりから、ということが多いようです。
臨床医として生きていく上で基礎研究は必ずしも必要なものではありませんが、「科学者としての臨床医」という視点を自らのキャリアに加えるのは決して無駄なことではありません。

Q. 他科から転科した場合のメリット・デメリットは何ですか?

A. 形成外科に限ったことではないですが、メリットはやはり転科以前の科で身についた知識、技術が形成外科診療に幅をもたせるということではないでしょうか。

例えば、外科から転科してきた先生は大網弁を外科の先生に頼ることなく簡単に挙上出来るでしょうし、耳鼻科から転科してきた先生には内視鏡の操作に慣れているかもしれません。

内科で全身管理を要するような症例をたくさん経験してきた先生は術後に厳重な全身管理を要する患者に対してもより適切に対処出来るでしょう。形成外科の患者をより広い視点で診ることができるというのは大きなメリットです。

デメリットはやはり形成外科診療に関する実力を身につけるのが遅れることです。
特に他の診療科に比べ形成外科には定型的な手術が少なく、一通りの形成外科診療がこなせる実力を身につける(いわゆる「一人前になる」)のに比較的時間がかかります。

Q. 美容外科医になるにはどうすれば良いですか?

A. 形成外科の専門医を取得してから、サブスペシャルティとして美容外科診療を行うことが望ましいです。
法律上は形成外科専門医でなくても美容外科診療を行えますが、美容外科の多くの手技は形成外科で学ぶべき手技の基に成り立っています。
技術的にも倫理的にも優れた美容外科医は同時に優れた形成外科医である場合がほとんどです。