形成外科で扱う疾患


電撃傷

1. 疾患の解説

感電、落雷、電気スパーク、溶接アーク光などによる電気的障害による組織損傷を電撃傷と言います。電撃傷は電気が体表面や体内を通ることによって起こる熱傷の一種です。配電盤工事などの労災事故がほとんどを占めますが、凧や釣り竿が送電線に接触して起こることもあります。家庭内では赤ちゃんがテーブルタップをなめたりしても起こります。

重症例では、感電したその場で、重症不整脈によって即死となることもあります。また、体内に電気が通ると熱を発生し、その熱によってからだの深い部分の組織や筋肉にやけどが起こりさまざまな障害を起こします。

一般のやけどと違い、電撃傷では、局所の損傷がわずかでも不整脈をおこすことがあること、体表面の損傷の広さでは重症度は判定できないこと、時間がたつとともに局所の損傷が拡大すること、筋肉の損傷を伴うことも多いことが特徴です。

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2. 治療法

一見、浅いやけどと思われても、のちに重症となることもあるので、少しでも症状がある場合には、軽症だと判断しないで必ず病院を受診してください。具体的な治療法としては、全身的な管理と電撃傷を受傷した局所の管理を行います。

(1) 全身管理

体内の通電が疑われれば、組織、筋肉の損傷によっておこる腎臓の障害を防ぐため点滴による補液が必要です。また、不整脈を起こす危険性があるので、受傷後24時間は心電図を継続して観察することがあります。さらに組織の損傷の程度を把握するために血液検査、必要があればレントゲンの検査を施行します。したがって、専門の病院に入院が必要となります。

(2) 局所管理

体の表面にみえるやけどに関しては、通常のやけどの治療に準じます。
高圧電流の通電による皮下組織、筋肉損傷では、四肢関節部の自動運動ができなくなったり、知覚の障害が現れたり、指先の血液循環障害が疑われれば、減張切開と呼ばれる緊急の外科的処置が必要な時もあります。
さらに、皮膚損傷の状態や血管撮影検査の結果で、主要血管の損傷が強く疑われれば、四肢においては切断も考慮する必要があります。

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3. 治療により期待される結果

皮膚表面だけの電撃傷では一般のやけどとほぼ同じ治療結果が期待されます。しかしながら、体内の通電による損傷が著しい場合にはさまざまな障害を残します。

後遺症としては、血管の損傷による遅発性の出血があります(これは受傷後比較的早期に起こります)。また、通電による神経の損傷によりしびれ感や疼痛、運動障害が生じてくる場合もあります。また、不幸にも四肢の切断となることもあり、義足の装着など、社会復帰のためのリハビリテーションが必要です。また、受傷による体の一部分の欠損、変形に対しては、さまざまな組織移植などの形成外科的治療が必要となります。

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