形成外科で扱う疾患


肥厚性瘢痕

1. 肥厚性瘢痕とは

ケロイドとの区別が長い間論争の的となっており、これにより肥厚性瘢痕の表現が研究者により、外観、形態、性質において微妙な違いがあり、統一された定義が作られるまでには到っていません。しかしながら一般的には、いろいろの程度の赤味を伴った隆起した瘢痕が肥厚性瘢痕と言われています。赤味に関しては、発症して発育増殖する時は赤味が強く、これは次第に赤紫色に移行し、ついには赤味は消失して隆起のみを残すなど、さまざまです。しかしいずれにしろ隆起のある間は字のごとく肥厚性瘢痕と言えます。

肥厚性瘢痕の原因としては、外傷、熱傷、手術による縫合創などがあげられます。この肥厚性瘢痕の発生増殖は、創部が縫合閉鎖、上皮化が完了してから始まり、隆起拡大増殖していくのがその特徴になっています。

肥厚性瘢痕はまた顔面や関節部にかかる場合、しばしば拘縮をきたし、いろいろな程度の機能障害の原因となります。

現在隆起した瘢痕は、一般的にはケロイドと肥厚性瘢痕の概念に分けて論じられています。これによると肥厚性瘢痕は、発生後数年以内に平坦化し赤味も消失し、通常の成熟瘢痕になっていきます。これに対しケロイドは増殖傾向が強く、なかなか消褪傾向を示しません。また肥厚性瘢痕には、ケロイドの大きな特徴としてあげられている周辺に滲みだすような潮紅が認められないとされています。この他ケロイドは肥厚性瘢痕と比べると、治療に対し抵抗性が強く、再発傾向が強いとされています。

しかしながら肥厚性瘢痕とケロイドが、特に一つの瘢痕の中に共存すること、また同一原因で一方はケロイドに、他方は肥厚性瘢痕になっていることもあります。このようなことから「両者は体質的な面も確かに関与するが、局所の種々の環境要素が複雑にからみあい、これにより瘢痕の表現形態ならびにその持続性が異なったものであって、両者は本質的には同質のもの、一連のものである」という考えも近年注目されています。

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2. 治療法とその効果など

治療にあたっては肥厚性瘢痕は、いわゆるケロイドと異なり、前述のごとく多くの場合平坦化していくこと、またその色も次第にうすくなっていくことから、時間をかけた注意深い経過観察が重要で、決して外科的治療を急いではいけません。この他局所の運動抑制など可及的な安静を保つことが、肥厚性瘢痕の発生増殖を抑制ならびに消褪傾向を促進することからこれらのことにも十分配慮すべきです。

このようなことから肥厚性瘢痕の治療方法は次の二つに分けられます。

(1)早期増殖期
  1. 種々の圧迫固定方法(テープ、スポンジ他)
  2. ステロイドテープ
  3. トラニラスト内服(瘢痕の増殖を抑える薬剤)
  4. シリコンゲルシート
  5. 軟膏療法(掻痒の抑制、保湿効果)

これらの治療方法は増殖抑制、消褪傾向の促進、自覚症状の軽減を目指したものです。

(2)症状固定期

醜形が高度の場合、下記の治療法が検討されています。

  1. 小さく、また線状の場合、形成外科的切除縫合、これに後療法として圧迫固定、さらにトラニラストの内服を行うこともあります。
  2. 目立つ部位で範囲が広い場合、切除し整容的な植皮ならびに皮弁による治療を行います。

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