形成外科で扱う疾患


瘢痕拘縮

1. 瘢痕拘縮とは

皮膚は損傷を受けたとき損傷が浅いと"あとかた"もなく治癒しますが、一定の深さを越えた損傷では"かた"を残して治癒します。後者の場合の"かた"を瘢痕といい、瘢痕によってひきおこされる形の変形や皮膚緊張の増加状態を瘢痕拘縮といいます。いわゆる"ひきつれ"です。

瘢痕拘縮は瘢痕が形成されるときその面積や長さが損傷前の面積や長さより縮小し、かつ弾力性を喪失するという瘢痕の性質によって生じるものです。

創が表皮形成を完了した時点から瘢痕としての面積・長さの縮小が始まり、数ヶ月間縮小が進行し続けます。瘢痕拘縮の進行が停止するのは、個々の場合によって異なりますが、おおよそ1年前後です。特に最初の数ヶ月はその程度が強くあらわれます。以下に瘢痕拘縮の状態を部位別に示します。

眼瞼 結膜の外反(外側にめくれた状態)、閉瞼障害
口唇 口唇の外反、口周囲に生じると開口制限。口角の位置異常
口唇 口唇の外反、口周囲に生じると開口制限。口角の位置異常
鼻翼の位置異常、鼻腔狭窄
頚部 下顎頸角の拡大、運動障害
胸部 胸壁の運動制限、時に痛み、乳房発育障害
腹部 躯幹の伸展制限、時に痛み
四肢関節 関節の運動障害、屈曲変形
手指 指の運動障害、水かき形成
外陰部 陰茎の短縮、変形

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2. 治療法

拘縮の部分に切開を加え、拘縮を元の状態にもどすと不足量の皮膚に相当する創が生じます。この創に対して附近の皮膚を移動させる局所皮弁、非露出部から採皮する遊離植皮、筋膜と皮膚を一緒に移動させる筋膜皮弁、顕微鏡で血管吻合する遊離皮弁などの手術法があります。特殊な方法として風船を皮下に入れて皮膚を伸展させる組織拡張法があります。

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3. 治療により期待される結果

眼瞼外反や閉瞼障害、口唇外反などは改善され完全閉瞼が可能になります。

頚部の形態と運動障害も著明に改善されます。

乳房の発育に対しては思春期以前に拘縮解除を行うと乳房は正常の大きさに発育します。腹部の手術瘢痕による疼痛は局所皮弁であるZ形成術によって軽快します。

四肢の関節運動制限は適切な手術により運動制限の改善がみられます。幼児の接触熱傷による指の屈曲拘縮は足底からの植皮により完全に形態機能の改善が得られます。

拘縮による皮膚の緊張感(つっぱり感)は治療により軽快します。

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