形成外科で扱う疾患


レーザー治療

1. レーザー治療とは

宇宙工学、通信等に幅広く利用されているレーザー技術は医療の分野にも急速に進展しつつあります。しかし、レーザーは魔法の光ではなく、全ての病気が一回の治療で痛み無く完治するものではありません。複数回の治療を要したり、痛みが強いレーザー治療では麻酔が必要であったり、レーザー治療に抵抗性のものもあります。疾患や個人差、部位にあわせていろいろな波長のレーザーから最適の機器を選び出し、出力、照射時間等を調節しなければなりません。これらを的確に行って、始めて、皮膚を傷つけない治療が可能になります。

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2. 血管性病変

(1)単純性血管腫(赤ブドウ酒様血管腫)

出生時より認められる通常片側性の平坦な(顔面では思春期以降に肥厚化)赤色斑で自然消退傾向はありません。

(2)苺状血管腫

生後1週から3ヶ月の間に発症し、6ヶ月~1年で完成します。紅色腫瘤状を呈します。自然消退傾向があるので一般的には経過観察としますが、最近は積極的にレーザー照射を行う施設が増えています。

(3)老人性血管腫

主に中年以降の体幹にみられる半米粒大の紅色半球状丘疹です。

(4)毛細血管拡張症

クモ状血管腫や酒さによる毛細血管拡張で赤色の線状を呈します。

治療色素レーザー(フラッシュランプダイレーザー)、KTPレーザーなどを使用します。
結果単純性血管腫は治療回数を増すごとに治療効果は上がりますが、部位により治療効果が異なります。苺状血管腫ではレーザー治療により早期消退が期待できます。約1週間で上皮化しますが、レーザー照射部位に一致した紫斑が吸収するまで2-4週間続きます。老人性血管腫や毛細血管拡張症のレーザー治療は比較的良好です。

(1)、(2)、(4)は健康保険診療が可能です。

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3. 表皮色素異常症

(1)雀卵斑(そばかす)

遺伝性・先天性で顔面正中部から両頬に多発することが多くあります。直径数mmまでの色素斑で紫外線照射で悪化します。

治療Qスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、ヤグ)長パルス幅レーザー(ルビー、アレキサンドライト)を使用します。
結果結果良好です。再発予防に日光照射を避けるようにします。美白剤を使用します。
(2)老人性色素斑(日光黒子)

主に中年以降に顔面・手背・前腕伸側に発症する褐色色素斑です。大きさは大小さまざまです。

治療Qスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、ヤグ)長パルス幅レーザー(ルビー、アレキサンドライト)を使用します。
結果1週間程度で治癒します。再発予防に紫外線を避け、美白剤等を使用します。
(3)光線性花弁状色素斑

肩から背部、前胸部にかけ、大豆大の花弁状に多発する色素斑で、強い日焼けあとに生じやすいものです。

治療炭酸ガスレーザー、Qスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、ヤグ)長パルス幅レーザー(ルビー、アレキサンドライト)を使用します。
結果経過良好です。日光照射を避けることが必要です。

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4. 真皮メラノサイト増殖症

(1)太田母斑

通常片側の顔面にみられる褐青色斑で自然消退傾向はなく、Qスイッチレーザー治療が第1選択です。

(2)蒙古斑・異所性蒙古斑

蒙古斑は、小児期までに自然消失するものがほとんどですが、その後も消失せずに残った例が治療対象となります。濃色の異所性蒙古斑では通常の蒙古斑より消失しにくい傾向にあります。

治療Qスイッチレーザー治療が第1選択です。Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザーが使用できます。太田母斑、異所性蒙古斑は健康保険診療が可能です。
経過3~6ヶ月に1回、5回前後の治療が必要なことが多いです。結果は良好です。

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5. 母斑・良性皮膚腫瘍

(1)扁平母斑

薄い茶色の平坦な色素斑で体表どの部位にも出現します。

治療Qスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、ヤグ)長パルス幅レーザー(ルビー、アレキサンドライト)を使用します。
結果治療効果は様々で、治療後の再発も多くみられます。健康保険診療が可能です。
(2)色素性母斑(黒子)

幼小児期から出現する色素性母斑のうち帽針頭大から小豆大までの比較的小さいものを「黒子」と称しています。組織所見では、表皮真皮境界部、真皮に母斑細胞が腫瘍性に増殖しています。

治療炭酸ガスレーザーで切除する場合があります。悪性を疑う場合、レーザーは適応外です。
結果1~2週間で治癒します。発赤を伴う瘢痕を残す場合があります。
(3)表皮母斑(疣状母斑)

出生時、幼小児期に出現する淡褐色から褐色の隆起性角化性局面の疣状で列序性に並ぶことが多くあります。

治療炭酸ガスレーザーによる蒸散をします。
経過瘢痕を残す場合あるので注意を要します。
(4)老人性疣贅(脂漏性角化症)

主に30代以降に顔面・頭部・体幹に多発する丘疹で、しばしば老人性色素斑と混在します。大きさは半米粒大から様々で、色調も混在します。

治療炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーによる蒸散をします。
結果一週間後には上皮化しています。結果良好です。
(5)アクロコルドン

頸部、腋窩に多発する半米粒大以下の小丘疹で、大部分は老人性疣贅です。一部に小さい軟性線維腫が含まれます。

治療炭酸ガスレーザーで蒸散します。
結果良好です。

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6. 皮膚異物沈着症

(1)外傷性刺青

原因が擦過創や挫創などの受傷時に砂土、アスファルト、その他の微小な異物が真皮に沈着したことにより生じます。

(2)装飾刺青

単色、多色、色素量、色素の原料等によって治療期間、成績は異なります。

治療外傷性刺青と黒色刺青はQスイッチルビーレーザー、QスイッチアレキサンドライトレーザーとQスイッチヤグレーザー(波長:1064nm)を使用、赤色にはQスイッチヤグレーザー(波長:532nm)を使用します。
結果外傷性刺青は多くの場合3回前後の治療で終了します。装飾刺青は治療回数がかかります。緑色、黄色は現状では効率良く色素を除去することは困難です。外傷性刺青は健康保険診療が可能です。
(2)色素性母斑(黒子)

幼小児期から出現する色素性母斑のうち帽針頭大から小豆大までの比較的小さいものを「黒子」と称しています。組織所見では、表皮真皮境界部、真皮に母斑細胞が腫瘍性に増殖しています。

治療炭酸ガスレーザーで切除する場合があります。悪性を疑う場合、レーザーは適応外です。
結果1~2週間で治癒します。発赤を伴う瘢痕を残す場合があります。

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7. スキンリサーフェシング概論

近年、光老化による皮膚の治療法としてのスキンリサーフェシングは、欧米を中心に若返りのための美容形成術として急速に普及してきました。

(1)レーザーリサーフェシング

レーザー光を応用して、皮膚を薄く広範囲に蒸散させ、小じわ、老人性色素班や老人性疣贅、ニキビ痕などの陥凹瘢痕等の治療を行おうとするものです。通常のリサーフェシングでは、表皮を完全に蒸散し、かつ真皮上層から中層に適度な熱変性を与え、適度に熱変性した真皮に収縮が起こり、創傷治癒過程で、コラーゲンの再編成が起こります。

治療機器炭酸ガスレーザー、エルビウムヤグレーザーなどがあります。
経過約1週間の被覆は必要です。その後発赤が約1ヶ月持続します。日本人(黄色人種)の場合、長期間色素沈着が持続することがあります。
(2)Non-ablative skin rejuvenation

表皮と真皮の上層を蒸散することなく、真皮層の再編成を促すのに必要十分なレーザー光を作用させる方法が開発され、応用され始めました。

治療機器色素レーザー、ヤグレーザー、半導体レーザー、フラッシュランプ、電磁波などがあります。
経過痛みは軽いものから強いものまでさまざまです。治療後被覆の必要もありません。複数回治療が必要で効果がでるまで長期間を要します。

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