形成外科で扱う疾患


性同一性障害

1. 疾患の解説

性同一性障害とはいわゆる性転換症のことで、こころとからだの性別が異なる状態をいいます。すなわちからだは完全に男性なのに、こころのなかでは自分は女性であり、間違った入れ物に入れられて生まれてきてしまったと確信しています(またはその反対)。

その原因はいまだ完全には解明されていませんが、生物学的な問題、すなわち胎児期に身体または脳のいずれかの性分化に異常が生じた結果であり、先天的なものと考えられています。

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2. 治療法

治療は精神科的カウンセリング、ホルモン療法、外科的手術からなります。性同一性障害に悩み、苦しむ人は、そのように異常な考えにとらわれることに対する罪悪感、周囲との摩擦、軋轢が多いことによる孤立感、被差別感などから、精神的に強く抑圧されている場合が多くあります。そのためそれが生物学的原因、先天的な問題であって、決して本人に責任は無いことを納得させるだけでも大きな精神的救いが得られます。そして十分に時間をかけたカウンセリングの後にホルモン療法、さらに手術療法の適応を決定します。

性転換手術は正しくは性別適合手術と言います。

男性から女性への性転換手術は陰茎、精巣切除、その結果生じる余剰皮膚を利用して膣形成術を行います。女性ホルモン療法により十分に乳房が大きくならない場合にはシリコンバッグなどによる豊胸術を行います。その他に脱毛、顔の形成術(前額、鼻、下顎の骨切り手術を含む)、喉仏の切除、声を高くするための声帯の手術などがあります。

女性から男性へは乳房切除、子宮卵巣摘出、膣閉鎖、尿道延長、陰茎形成術を行います。女性から男性の場合男性ホルモン療法により月経の停止は当然のことながら、ひげ、体毛が生え、声は低くなり、筋肉質になりますので、低い身長を除いては外見上全く男性と見分けがつかないほどになります。

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3. 治療により期待される結果

性別適合手術は乳房の手術を除けば主として被露出部である外陰部の手術であり、外見上の変化はさして期待できません。しかし自分が長年にわたって憎悪してきた外陰部の変化は大きな精神的安定につながります。

性転換治療と言うととかく手術のみにその興味が向けられます。しかしこれらの人々のQOLの向上のために最も大切なのは戸籍上の性別変更です。隣国の韓国、台湾をはじめとし、世界のすべての先進国で認められている公的書類上の性別表示の変更がわが国でも認められる日が近くなっています。

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