形成外科で扱う疾患


小下顎症(小顎症)

1. 概念と解説

小下顎症または小顎症とは下あご(下顎骨)の発達が悪く、上あご(上顎骨)に対して下顎骨が後退した変形です(図1)。他の顎変形症と同様に遺伝的な因子も関与しますが、幼小児期の下顎骨の骨折やあごの関節の炎症などによっても起こります。また、生まれつき高度の小下顎症を来す疾患もあります。元来、日本人は下顎が小さい傾向にあるため、下顎の過成長による受け口(下顎前突症)が変形として認められるのに対して、小下顎症は異常として見られることが少ない傾向にあります。

症状は下顎骨が小さく、下あごの先端であるオトガイ部が後退しているため、あごと首のくびれが小さくなります。また、上あごの前歯が突出しているように見えます。小下顎症では出っ歯のように前歯が突き出たタイプと、逆に上あごの前歯が垂直に長く見えるタイプがあります。しかし、下顎骨は自由に前方へ移動させることができるので、口元を見せるときに無意識に下顎を突き出そうとすることがあります。小さなあごに普通サイズの歯が並ぶため、歯並びが悪く、凸凹不整になります。下顎が後退しているためにくちびるは閉じにくく、努力して口を閉じようとするためオトガイ部には梅干しのようなシワが見られます。また、小下顎症では空気の通り道が狭くなって、大きないびきをかき易く、さらに、寝ているときに呼吸が止まるような呼吸(睡眠時無呼吸)となることもあります。このため、小児の重症例では呼吸障害のために喉を切開したり、うまく飲みこめない(嚥下障害)ために胃の中にチューブを入れて栄養を与えることも必要となる場合があります。

Pagetop

2. 治療

ごく軽度の小下顎症では矯正歯科治療で噛み合わせを改善させ、オトガイ部の後退に対しては下顎骨水平骨切り術という比較的簡単な手術を行います。この手術は日帰りもしくは数日の入院で行うことが可能で、容貌の大きな改善が得られます。明らかな下顎骨の後退に対して下顎骨を前方へ移動する場合は、下顎骨骨切り術という手術を行います。下顎骨の後方部分を切り、下顎骨を前方へ移動してプレートやスクリューで固定します。この手術の前には術前の歯列矯正治療が必要ですし、手術後も後戻りを防止するために後療法が必要になります。骨切りという手術は思春期以後のあごの成長が終了した段階で行われます。

呼吸障害を伴うような重症の小下顎症では通常の骨切りという手術では対処出来ないため、下顎骨に切れ目を加えた後、装置を取り付けて徐々に引き伸ばすという骨延長法が最近行われています。

Pagetop

3. 治療により期待される結果

後退したあごの先端(オトガイ部)が前方へ移動することで、容貌の改善が得られます。正しい噛み合わせとなり、咀嚼や呼吸へ良い効果を得ることができます。

顎変形症」を参照下さい。

Pagetop