形成外科で扱う疾患


下顎前突症

1. 概念と解説

下顎前突症とは上あごに対して下あご(下顎骨)が前方へ突出した状態で、わが国ではあごの変形(顎変形症)の中で最も多いとも言われています(図1)。俗に「受け口」と呼ばれ、あごが突き出ているため相対的に顔の中央部は陥没しているように見え、三日月様の顔とも呼ばれます。下顎前突症は下顎骨の成長過剰によって起こり、多くは12歳~15歳頃の成長期頃に次第に下顎の突出が目立ってきます。ただし、ヒトの歯にはあごのズレを補おうとする作用(歯の代償適応)が働くため、明らかな下顎前突症でも上下の前歯の切端が合っているように見えることが少なくありません。下顎骨の突出が強い場合は奥歯の数本しか噛み合っていませんので、麺類などは舌を使わないと噛み切ることができません。また、言葉を喋る時にも舌を使うため、特有の話し方になります。左右のあごが不均一に過剰な成長を起こすと、あごが左右に偏位した前突症になります。

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2. 治療

軽度の下顎前突症では矯正歯科治療での噛み合わせ(咬合)の改善を図るという選択枝もありますが、骨格的な 下顎前突のほとんどは骨切り術という手術治療の対象になります。正常な噛み合わせと最も好ましい顔貌を得るためにはあごをどの程度移動すべきかは、形成外科医と矯正歯科医とが患者さんの希望を聞いた上で決定します。多くの場合に前に述べたような歯並びの異常が存在するので、手術に先立って矯正歯科治療が必要になります。手術前の矯正治療には1~2年の期間を要します。手術では下顎骨を切ることによって、人工的に骨折を起こさせて下顎骨を正しい位置へ移動します。移動後はプレートやスクリューで固定を行います。手術後は骨切り部の安静のための後療法を必要としますが、口から食物を摂取することは可能です。下顎骨の突出が著しい場合や上あごにも変形が認められる場合は、上あごの骨切り術を同時に行うこともあります。骨切りの手術には2週間前後の入院が必要です。

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3. 治療による期待される効果

噛み合わせが正常となることで、良く噛めるようになり、言葉の喋り方も改善します。あご関節の痛みが良くなることもあります。突出した下あごは後方に移動し、相対的に頬がふっくらとして、やや丸く見えるようになり、全体として容貌は改善します。

顎変形症」を参照下さい。

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