形成外科で扱う疾患


両顎前突症(両顎突出症)

1. 概念と解説

両顎前突症とは上あご(上顎骨)と下あご(下顎骨)の歯が前方へ突き出した状態で、奥歯の噛み合わせは正常です(図1)。この変形は歯と歯を支える歯槽骨の変形と考えられます。東洋人や黒人に多く、日本人ではありふれた変形です。あごの骨に対して歯が大きいことが前歯突出の一因とも考えられます。前歯の傾きが強く、上顎と下顎の前歯のなす角度が小さいのが特徴です。口元が突き出て、いわゆる“出っ歯”に似た変形となります。口元が突き出ているので相対的に鼻は低く見え、また、下あごの先端であるオトガイ部も後退して見えます。くちびるの赤唇部と呼ばれる部分は厚く見えます。また、前歯が突き出ているため、くちびるは閉じにくく、努力してくちびるを閉じようとするため、オトガイ部には梅干しのようなシワが見られます。

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2. 治療

治療には矯正歯科的な治療と手術療法の2つがあります。軽度の突出は矯正治療で歯を抜かない方法で治療が行われます。しかし、前歯の突出が明らかな例では、矯正歯科治療と手術療法に関わらず、側方の歯を抜いて前歯部を後方に移動します。通常は第1小臼歯といわれる前から4番目の歯を抜きますので、上顎と下顎で合計4本の歯を抜くことになります。矯正歯科治療による方法は手術をせずに済むことが最大の利点ですが、治療には時間がかかります。手術では抜歯した部分の骨を切除して、前歯部分を後方に移動します。手術の利点は抜歯も含めて一回で後方移動が行われるため短期間で治療が終わることや、前歯部分の移動方向を自由に決めることができることにあります。しかし、欠点は全身麻酔での手術と入院を要することです。また、手術後に矯正治療を行うこともあります。奥歯は手術の影響を受けませんので、手術後も食事や安静はそれほど制限されません。

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3. 治療による期待される効果

突き出た前歯部分が後方に下がることで容貌の改善が得られます。鼻の先端とあごの先端を結ぶ線をエステティック・ライン(esthetic line)と呼び、この線上かやや後ろに下くちびるが位置するのが美しい顔貌であると言われています。両顎前突症ではこの線よりもくちびるが前に位置していますが、治療によってくちびるの位置が下がり、この線上に近くなることで顔全体の印象が良くなります。相対的に鼻は高く見え、オトガイ部も突出して見えます。赤唇部は薄くなり、くちびるが閉じやすくなります。

顎変形症」を参照下さい。

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