形成外科で扱う疾患


リンパ管腫

1. 疾患の解説

リンパ管腫はリンパ管の形成異常が原因で生じる先天性の疾患で、出生児すでに存在しているか、あるいは生後早期に出現します。組織学的には良性であり、増生、拡張したリンパ管の中にリンパ液が貯留し腫瘤や水疱が見られます。皮膚や皮下組織だけでなく胸腔内や腹腔内など体の深部にも生じます。このうち形成外科で扱うのは整容的に問題となる、皮膚や皮下組織に発生したリンパ管腫です。

Pagetop

2. 治療法および治療効果

皮膚や皮下に発生するリンパ管腫は、拡張したリンパ管が真皮浅層に見られる表在性(限局性)リンパ管腫と、真皮深層から皮下に存在する深在性(海綿状あるいは嚢胞状)リンパ管腫に分類され、それぞれのタイプで臨床症状や治療方針が異なります。

浅在性の場合、皮膚表面に透明や赤色調を呈する水泡が多発し、いわゆる“蛙の卵”状と表現されます。出生後しばらくして出現する事が多く、徐々に増大します。病変部を正常な皮膚を含めて大きめに切除するのが最も確実で再発も少ない方法です。非手術的な治療法として、ドライアイスや電気焼灼なども行われてきましたが、再発しやすくまたかえって傷跡が目立って残ります。近年、これらの非手術治療に比べてより傷跡が残りにくく、かつ再発が少ない方法として、炭酸ガスレーザーを用いた治療法が有効であるとの報告がなされるようになりました。ただこの方法も、手術との優劣については、一長一短があり結論は出ていません。

深在性の場合、病変は皮下腫瘤として出生時にすでに存在することが多くあります。腫瘤は徐々に増大し、骨や筋肉などの成長障害を伴うこともあります。深在性の場合も、腫瘤を一塊として切除することが最も確実で再発の少ない方法です。しかし、病変が大きい、境界が不明瞭である、重要な器官や臓器と接しているなど手術で確実に切除することが困難な場合が少なくありません。この様な場合、まず非外科的治療が行われます。すなわち、ブレオマイシンやOKT-432などの薬剤を腫瘤(嚢)の中に注入し、嚢を形成する壁を癒着させ腫瘤を消失させる方法が行われます。この治療は、注入後発熱を伴うことが多いことや少なからず再発することなどの問題点があります。しかし重大な機能障害を残すことなく、病変の消失や縮小が期待できることから、特に小児の大きな嚢胞性の病変に対しては第一選択となっています。この方法が無効の場合には外科的切除を行わざるを得ませんが、再発の可能性は高くなります。

このように、本疾患は先天性の疾患であり、出生時あるいは、生後早期に出現し徐々に増大します。病変が大きければ大きいほど治療は難しく、また再発率も高くなります。したがって病変が小さいからといって放置することなく、積極的に治療することが整容面から考えても重要です。

Pagetop