形成外科で扱う疾患


動静脈奇形

1. 解説

組織学的(顕微鏡的)には、血管内皮細胞の増殖がなく異常な血管の集合からなるものを血管奇形と定義しています。この血管奇形の代表的なものが「毛細血管を経ずに直接に動脈から静脈に血流が短絡する動静脈奇形」です。

臨床的には、周囲より暖かくて拍動を伴い、赤黒く盛り上がり、あたかも心臓がもう1つあるような外観を示すものが多くあります。血管造影検査では異常に太い血管とナイダスと呼ばれる血管病巣が早期に写し出されます。

I期(潮紅、暖かさのみの休止期)、II期(雑音、拍動が聴取され、病変部の増大する膨張期)、III期(疼痛、潰瘍、出血、感染を伴う破壊期)、IV期(心不全を伴う代償不全期)へと進行し、生命を脅かすこともあるので、早い時期に切除するのが理想です。

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2. 治療法

基本的な治療法は病巣部の切除です。しかしながら、手術に際してかなりの出血が予想される場合には血管内治療による血流遮断的療法を併用します。即ち、大腿動脈などから細いカテーテルを病巣部の異常血管まで挿入し、異常血管内に特殊なコイルや硬化剤で血流を遮断する「超選択的塞栓術」を行い、拍動がほとんど消失した数日から1週間後に「病変部の切除」が行うことがあります。

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3. 予後

動静脈奇形は早期にはほとんど変化がないように見えますが、進行していくのが通例です。III期になると急速に悪化する場合も少なからず見られます。病理組織学的には、個々の細胞は良性で悪性化することはまずありません。しかしながら、臨床的には進行を続け、眼球周囲に発生した場合には失明;頬、くちびる(口唇)、歯やあごの骨などに発生した時は醜形や大出血;四肢では骨の異常な発育・肥大や難治性の潰瘍などを合併し、重要臓器のみならず生命を脅かすこともあります。

小範囲から広範囲を占めるものまで、また、進行の程度にも個人差が見らますが、比較的病変部の境界が明らかなI期、II期の内に、病巣部を大きめに切除するのが最良とされます。再発した場合には進行速度が一段と増し、治療に難渋することの多い疾患です。

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