形成外科で扱う疾患


脂腺母斑

1. 疾患の解説

出生時または幼少時から見られる黄色調を呈する母斑(あざ)です。乳幼児期では皮膚表面は正常色調で平らから軽度の凹凸となりますが、脂腺の発達する思春期以降ではしだいに顆粒状に隆起し、色調も加齢により褐色調を帯びてきます。また頭部に発生すると毛髪を欠くことになります。自然消退はなく、多くは単発性です。他の母斑と同様に、体が大きくなるのに比例してこの母斑も大きくなります。注意することは加齢と共に脂腺母斑から続発性に腫瘤が発生することです。その頻度は本母斑の約20%と言われています。続発性腫瘤には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、母斑表面に変化が見られたときには注意が必要です。続発性腫瘤の発生年齢は平均30~35歳とされますが、まれに10歳以下の例もあります。したがって、欧米や本邦でも脂腺母斑は禿髪や盛り上がって汚いといった整容面ばかりでなく、皮膚癌などなどになりやすいので比較的低年齢でも治療対象となります。また列序性の脂腺母斑に痙攣、精神遅延などの中枢神経障害を合併することがあり脂腺母斑症候群と呼ばれ、眼、口腔内、心血管系、骨などに先天異常を伴うので注意が必要です。

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2. 治療法

加齢に伴い続発性腫瘤が発生するため、一般的には積極的に外科的治療が行われます。母斑切除により生じた皮膚欠損が縫合可能な場合は縫縮しますが、広範囲な場合には周囲の組織を利用する皮弁移植術や他の部位から移植する植皮術が必要となります。切除術後には瘢痕が必ず残るため、顔面や手では術後の瘢痕を考えた切除・縫合方法が必要です。特に頭部では禿髪の部分を最小限にする手術方法が望ましく、最近ではティッシュー・エキスパンダー(シリコン製バッグによる組織伸展器)を用いて母斑周囲の頭皮や皮膚を拡張することで術後の禿髪や瘢痕を最小限にする手術方法も用いられています。年齢、母斑の大きさ、手術方法によっては全身麻酔が必要となります。

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3. 治療により期待される効果

母斑の完全な切除により続発性腫瘤の発生は見られなくなります。切除縫合部では線状の瘢痕が残り、頭部では瘢痕に沿った脱毛が生じます。また植皮術が必要な場合には植皮部の色素沈着、拘縮と採皮部の瘢痕が残ることになります。

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