形成外科で扱う疾患


扁平上皮癌

1. 疾患の解説

扁平上皮癌は、別名、有棘細胞癌とも呼ばれ、本邦においては基底細胞癌に続いて頻度の高い皮膚悪性腫瘍です。皮膚は表皮・真皮・皮下組織といった層構造を形成していますが、扁平上皮癌はこのうち表皮に存在する表皮角化細胞と呼ばれる細胞が悪性増殖してできる癌です。瘢痕や、ボーエン病・光線角化症といった癌前駆症等、表皮の慢性先行病変の上に生じることが多く、これに加えて日光(紫外線)、砒素、タール、放射線などの発癌因子が発症に関与します。中年以降に多く、どこの皮膚、粘膜にも生じますが、露出部に多く生じます。症状としては、小結節状の病変から始まり、次第に拡大して隆起性の腫瘤や、難治性潰瘍を形成します。進行すると付近のリンパ節(所属リンパ節)や他の臓器に転移します。

診断は、臨床所見に加えて、確定診断として腫瘍の一部を採取して病理組織学的に検査(生検)することによって行われます。さらに、断層超音波、CT、MRI、シンチグラムなどの画像診断を利用して、リンパ節転移および遠隔転移を検索し、腫瘍の進行度(病期)を決定します。画像診断は、原発巣の浸潤の程度を検索するためにも有用となります。

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2. 治療法

治療は外科的に切除することが第一選択となります。病期によって、腫瘍から5 mm ~ 3 cmの健常皮膚を含めて切除します。腫瘍の切除後に広範な皮膚の欠損が生じた場合には、通常、遊離植皮あるいは種々の皮弁を利用して、欠損部を被覆します。四肢末端部の場合には、切断術や関節離断術が適応となることもあります。

腫瘍の所属リンパ節への転移を認める場合には、原発巣の拡大切除に加えて、腋窩、頚部、鼠径部などのリンパ節を取る手術を行いますが、リンパ節転移が無い場合の予防的なリンパ節郭清は行わないのが一般的です。

防的なリンパ節郭清は行わないのが一般的です。
他の臓器への転移を認める進行例に対しては、放射線治療や化学治療などの集学的治療が行われますが、症例によって原発巣の切除を追加する場合もあります。

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3. 治療により期待される結果

全国統計の5 年生存率では、腫瘍が皮膚内に留まっている段階で治療が行われた症例では85 ~ 99 % 程度と極めて良い結果が得られていますが、腫瘍が皮膚よりも深い組織(軟骨、筋肉、骨など)にまで浸潤したり、所属リンパ節への転移を認める場合には50 ~ 60 % となります。さらに、他の臓器への転移を認める進行例では40 % 以下 まで低下します。

一般には、予後良好な早期に治療を開始できることが多く、悪性黒色腫などと比較すると、進行の遅い腫瘍であるといえます。

病期の進んだ症例に関しては、再発、転移を生じることも少なくないので、治療後も5年間を目途に、注意深い経過観察が必要となります。

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