形成外科で扱う疾患


基底細胞癌

1. 疾患の解説

皮膚の上皮(表皮や毛包上皮)から発生する皮膚癌の一種です。皮膚癌の中では最も頻度が高く、かつ、最も悪性度が低い癌と言われています。通常、中年以降の顔面の正中部(外鼻部、下眼瞼部、頬部、上口唇部)に多く発生します。日光暴露、外傷(瘢痕)、放射線、砒素が誘発因子と考えられます。臨床的には、不規則に黒色調を呈する結節状の腫瘤で、ゆっくりと成長しながらしばしば表面がくずれ潰瘍化してきます。放置すると潰瘍は拡大し容易に出血するようになります。転移は稀でその頻度は0.01%ですが、時に局所での浸潤が強い「破壊型」と呼ばれるものがあり、また、顔面発生が多いことから注意が必要です。

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2. 治療法

基底細胞癌に対する治療法の原則は適切な切除です。境界明瞭の結節であれば、辺縁2~3mm離して摘出すれば充分に取り切れます。摘出深度は付属器(毛包)の存在する深さまでですから、顔面の部位により付属器の深さが異なることから切除すべき深度も必然異なります。また、遊離縁(鼻翼部、眼瞼部、耳介部)の発症であれば、through(全層)で摘出を余儀なくされる傾向にあります。さらに、放置期間が長くなり、破壊型やある程度の大きさまで成長したものに対しては、5~10mmの辺縁と皮膚を超える深度(軟骨や骨)までの切除を要する場合もあり注意が必要です。顔面発症の多い腫瘍ですから、機能的にも整容的にも手術には形成外科的手技を必要とします。

切除欠損に対しては、小さい欠損の場合には切除縫縮が可能ですが、特に顔面の場合は、目立たない瘢痕とすべく何らかの工夫が必要となります。最も多い再建方法は局所皮弁術で、部位や欠損形/径に応じた様々な方法があります。また、部位によっては植皮術も良い適応になります。

手術後は、瘢痕が成熟するまでの数ヶ月間のテーピングや、植皮術後の場合には過度の色素沈着防止のための遮光を要します。

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3. 治療により期待される結果

適切なる切除が施行された場合には再発は稀です。局所浸潤傾向の強い破壊型の場合には、長期外来通院での慎重な監視が必要となります。専門医による形成外科的な方法で手術が施行されていてもある程度の瘢痕が残ります。目立たない瘢痕とすべく上記のような後治療も行いますが、術前に、術者から充分なインフォームド・コンセントを受けた上で手術に臨むことをお薦めします。

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