形成外科で扱う疾患


デュプイトラン拘縮

デュプイトラン拘縮は手掌腱膜が肥厚・収縮し、皮下の硬結、手指の屈曲拘縮、伸展障害をきたす疾患です。手掌腱膜のほかにも手指の皮下に近い部分の靭帯も本症に関与します。指の屈曲拘縮を生じますが、屈筋腱をはじめ手指の腱は影響を受けません。

1. 疫学

本症は中年以降の男性の多く見られます。片手より両手に発症することが多い疾患です。本症はアルコールとの関係が深く、長期にわたるアルコール摂取が危険因子の一つとされています。他の疾患では糖尿病に合併することが多い、と報告されています。また抗てんかん薬の服用との関係も報告されています。

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2. 症状

初期は環・小指の手掌腱膜の病変として現れることが多く、小指側の指に近い部分の手掌に皮下に“nodule”と呼ばれる結節・硬結として出現します。この段階では、ゴルフや野球の素振りなどでできる“マメ”のような状態です。この結節は疼痛や圧痛を伴う事もありますが、通常は限局性の軽い痛みであり進行例でも痛みが主訴となることはほとんどありません。進行すると“cord”と呼ばれる索状物を呈するようになり、指の関節の屈曲拘縮が見られるようになります。また“pit”と呼ばれる小陥凹を認めることもあります。さらに進行すると、中指、示指、第一指間、母指へと症状が拡大します。デュプイトラン拘縮はMeyerdingの分類がよく用いられており、進行度によってGrade0:屈曲は無く、小結節があるのみ、

  1. 屈曲拘縮を1指のみに認める
  2. 屈曲拘縮が複数指に及ぶが各指とも屈曲角度の総和が60度以下である
  3. 少なくとも1指に60度以上の屈曲拘縮がある
  4. 全指に屈曲拘縮がある

となっています。本症は足底腱膜にも同様の症状を合併する事があり、診断の際には足底の所見にも注意する必要があります。

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3. 治療

基本的に薬物療法や注射は治療効果がなく、手術による治療になります。Grade0で痛みが無く、進行しない場合は手術の適応ではありません。しかし、屈曲拘縮が進行しGrade3以上になると、手術をしても関節可動域が完全に改善しないこともあり、早期の手術が望ましいといえます。進行すると皮膚性拘縮も加わるため、Z形成術などの処置を加える必要があります。手術後は拘縮の程度により1~3ヶ月程度のリハビリが必要なこともあります。

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4. 合併症

皮膚の壊死や、指の神経血管束が硬縮した筋膜に巻き込まれている事があるため、術後指の知覚障害を生じることがあります。また、ごくまれにCRPS(複合性局所疼痛症候群)を合併することがあります。

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