形成外科で扱う疾患


その他の四肢異常

1. 巨指症(図1

疾患の解説

手や指の部分的な巨大症を巨指症といいます。主に皮下脂肪組織の肥大化により見かけの醜状のみならず、指の屈伸運動が障害されます。手指の場合は箸やペンを持つことが困難となり、足趾の場合は歩行困難、普通の靴が履けないなどの障害が見られます。

治療

指の側面に沿って皮膚と脂肪組織を切除します。指全体の血流が悪くならないよう、間隔を置いて片方ずつ手術を行います。成長期では骨端線という指の発育に関係する骨の部分を切除して短縮することもあります。

治療により期待される効果

成長に応じて数回の手術を行うことにより、細く短くすることは可能ですが、骨も長く太くなっているため健常な指と同じ程度にすることは難しいことが多いのも事実です。治療の目標は手指の場合は箸やペンが使えて外観上違和感が少なくなるようにすること、足趾の場合は健常側と同じサイズの靴が履け、歩行ができるようになることです。

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2. 屈指症(図2

疾患の解説

指の第2関節(遠位指節間関節)が曲がって、まっすぐ伸ばすことができない病気で女性の小指に多く発生します。思春期になってから気づかれる場合もあります。指を曲げる腱や関節を包む組織の構造の異常、皮膚の不足がみられます。

治療

屈曲が10度程度までの軽症例では特に治療は必要ありません。高度な屈曲に対しては、指の側面に沿って切開し腱や関節の構造異常を正し、皮膚の不足がある場合は皮膚移植をおこないます。指を伸ばす腱の移行を行うこともあります。手術後数ヶ月は夜間指を伸ばす装具をあて、屈曲の再発を防止する必要があります。

治療により期待される効果

完全に伸ばすことができるところまでいたらない場合もありますが、日常生活上不便を感じない程度まで伸ばすことができるようにするのが目標です。

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3. 母指形成不全症(図3

疾患の解説

母指がわずかに小さいものから、重症では完全に欠損するものまで様々な程度のものが見られます。母指は他の指と対向させて「握り」や「つまみ」など手の重要な機能を担う指ですので、その形成障害は、他の指に比べ手の機能の著しい障害に繋がります。

治療

形成不全の程度により治療法も異なります。母指と示指の間が浅い場合は、これを深くする手術をおこないます。母指を他の指と向かい合わせて「握る」「つまむ」機能が障害されている場合は、他の指からの腱の移行が必要となります。さらに重症な場合は、足の指から関節や腱を移植する場合もあります。母指の完全な欠損に対しては、指数を5本にすることはできませんが、示指を母指の位置に他の指と向かい合わせとなるように移行する手術(母指化手術)により機能の改善が図られます。

治療により期待される効果

軽症では機能も形態も健常に近くまで治すことができますが、母指の欠損では、握る、つまむなど手としての基本的な機能を得ることが目標となります。

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4. 裂手症(図4a,b

疾患の解説

手足の中指が欠損し同部にV字状の裂が生じ、手指が2つに分かれた外観を呈します。重症になると中央3指が欠損したり、合指症や多指症を合併します。

治療

ジグザク切開・縫合により、指の股(指間)の高さを揃えつつ裂を閉鎖します。指の付け根の骨(中手骨)を切除、移動することもあります。母指と示指の間に形成不全がある場合は、同時に指の股(指間)を作る手術が必要となります。
治療により期待される効果:裂手症では機能をもつ指の数を5本にすることはできません。裂部の形態を整え、少ない指の数で形態的にバランスのとれた、役に立つ手にすることが目標です。

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5. 短趾症(図5a, b, c

疾患の解説

生まれつき指が短い病気で、女性の足の第4番目の趾に多く発生するのが特徴です。乳幼児期には明かでなく、成長期に入ってから気づかれることもあります。足の付け根の中足骨という骨が短く、歩くときに痛みを感じることもあります。

治療

手術時期は治療法により異なりますが、思春期以降が良いでしょう。手術法は短い中足骨の中央付近を切って、その間に自分のすね(腓骨)や骨盤の骨を移植する方法と、移植せずに骨延長器を使って数ヶ月かけて徐々に伸ばしていく方法(図5b)があります。骨を移植する方法では、歩いたり走ったりすることができるようになるのに2か月前後かかりますが、延長する方法では他の体の部位から骨を採って移植する必要がないかわりに、延長するのに数ヶ月、それから歩いたり走ったりするのにさらに2か月程度かかります(図5c)。

治療により期待される効果

いずれの治療も長期間を要しますが、15mm程度までの短縮であれば、十分な効果が期待できます。

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6. 先天性絞扼輪症候群(図6a, b

疾患の解説

指や腕の途中にひもで縛ったようなくびれがある病気です。胎児期に羊膜の一部が絡まることが原因と考えられています。くびれが高度で、そこから先がむくんだり欠損して生まれてくる場合もあります。複数指のくびれでは、指の先端部のみの癒合がみられることもあります。

治療

指の途中のくびれはその部分を切り取って縫合したり、皮膚を入れ替えて(Z形成術)治します。指の途中からの欠損は正常な状態に治すことは困難ですが、骨延長器を使って数ヶ月を掛けて伸ばすことは可能です。さらに母指の欠損の場合は、足の指や関節、爪などを移植したりすることもあります。

治療により期待される効果

くびれの手術は、指の屈伸運動などの障害を残さずに、ほぼ正常な太さにすることが可能です。指の途中からの欠損は、正常な形にすることは困難ですが、骨を延長したり足の指や関節、爪を移植したりすることにより、本来の指に近い構造にするのが目標となります。

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