形成外科で扱う疾患


臍突出症・臍ヘルニア

1. 疾患の解説

臍は、臍帯が切断された後、乾燥脱落した断端が瘢痕収縮して陥凹した状態として通常は認められます。臍帯が腹腔内から左右の腹直筋の間を貫いて体外に出る部分は、臍輪とよばれ、繊維が臍帯の周囲をしっかりと輪状にとりまいていて、腹腔内容が腹壁外に、はみ出てこないようになっています。臍窩であるべき部分が陥凹しないで、逆に突出していることがあって、この状態を臍突出症と呼んでいます。臍輪が閉じており瘢痕組織により皮膚がおしあげられて臍突出を呈しているものは、俗に「でべそ」と呼ばれています。また、臍輪が開いていて腹腔内容が腹膜に包まれた形で脱出し、臍ヘルニアを呈しているものもあります。このように、臍輪と呼ばれる線維組織の形成不全により薄く脆弱なことがあって、成人で妊娠や肥満が原因で腹腔内圧が上昇したために臍ヘルニアを生ずることがあります。先天性の場合は、1歳前後で9割以上の臍ヘルニアは、陥凹して,正常の臍窩となりますが、成人例では、腹腔圧上昇の原因がなくなっても改善しないこともあります。(図-1)。

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2. 治療法

突出した組織の処理を外科的に行い、陥凹した臍窩を再建するわけですが、単なる臍突出症と臍ヘルニアでは、手術法がことなります。臍突出症では、突出した臍を正中で臍輪まで切開し、臍輪と臍皮膚との間に存在する瘢痕組織を除去して、皮膚弁状となって切り開かれた皮膚を適切な位置の臍輪に陥凹固定させて、よい形の臍を作ります。

臍ヘルニアでは、隆起したヘルニア嚢上の皮膚を皮膚弁として頭側、尾側,左右側にそれぞれ茎としたものを作成し展開し、腹膜に包まれたヘルニア嚢を腹腔内に還納し、腹腔内容の脱出した臍輪が開いたヘルニア門があるので、左右の腹直筋鞘に糸をかけ、腹直筋同士を正中に寄せて縫合して、そのヘルニア門を閉鎖します。尾側に茎を有する皮膚弁を臍の横径の幅とした十分な長さのものとして、臍窩を尾側へと十分深くなるように引き込んで固定し、立位で臍窩に水が貯められるような形とします。左右頭側の皮膚弁はトリミングしながら腹直筋鞘に固定し十分な深さの形のよい臍窩を作ります。(図-2

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3. 適応

臍突出症では、機能的には障害がないため適応はありませんが、形態の改善が望まれる時には、社会的、精神的適応があると考えられます。臍ヘルニアは、機能的にも適応があります。

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4. 手術時期

先天性のものでは、1歳くらいまでに自然治癒が期待できるので、それ以降が手術時期といえます。

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5. 治療により期待される結果

上述した手術法で、皮膚弁のデザインと固定の仕方で、臍窩の形態は調整可能です。

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