形成外科で扱う疾患


ポーランド症候群

1. 疾患の解説

ポーランド症候群とは1841年ロンドンの医学生であったポーランド氏が胸筋欠損(大胸筋、小胸筋欠損)と手の発育不良、形成不全が同時に発生する患者がいるということを大学病院の雑誌に初めて投稿したもので、発表者の名前をとってポーランド症候群と名付けられています。この論文には手の発育不良の写真は掲載されているようですがその詳細は記載されていないようです。その後色々な医師の発表を見ると、胸部の症状としては大胸筋の部分欠損から、大胸筋、小胸筋、広背筋、等の筋肉の他、肋骨や肋軟骨まで欠損し、更には肩甲骨も小さくなっている症例も報告されています。手の発育不全としては指が1本1本離れていない合指症と指先から2つめの骨(中節骨)を中心に指が短い短指症が合併した合短指症、更には手の部分がほとんどない症例などが発表されています。

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2. 治療法

大胸筋、小胸筋欠損の治療としては背中の広背筋が存在する場合、この広背筋を大胸筋欠損部分に移植する方法があります。女性の場合乳房の発育が左右で著しく異なることがあり、どうしても乳房の基盤となる大胸筋が必要となります。またこれは脇の下のライン(前腋窩線)にもなります。乳房の発育不全による左右非対称では周囲の軟部組織を移植しようとしてもそれが形成不全(発育不良)でボリューム不足のため、多くの場合人工物挿入による形態改善が行われます。手の形成不全、特に短合指症の治療としては指を分離する合指症手術をまず行いますが、皮膚の絶対量が足りないため皮膚移植術が必要になります。手は早期に使い始めた方が発育が良いと言われていますので、使いやすい手にするため合指症手術は細かい手術が可能となった現在、1才過ぎに行われることが多くなったようです。また短指症の手術として最近は骨延長器を用いて指の骨を延ばす仮骨延長法が用いられることもありますが、元々の骨がかなり小さいためこの延長器を装着できないことが多く、なかなか思うように指を延ばせません。

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3. 治療により期待される結果

この疾患の1つは前胸部、胸郭の変形ですが、形成外科手技の発展により、大胸筋や乳房の非対称などはかなり満足のいく結果をだしています。また手の形成不全(発育不良)は色々なものがあり一概には言えませんが、くっついた指を分離することは出来ますが、指や手を長くすることは現在のところ困難です。しかし出来るだけ見かけが良く、使いやすい手にするように形成外科医や手の外科医は色々な手技を駆使して治療していますのである程度満足のいく結果が出るものと思います。

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