形成外科で扱う疾患


正中頚嚢胞

1. 疾患の解説(図1

魚類では成熟すると鰓(エラ)と呼ばれている器官を形づくる鰓(サイ)性器官(鰓弓、咽頭嚢、鰓溝と呼ばれる場所)から発生すると考えられています。人間では、ほほ、あごからくびの大部分の構造はほとんどこの鰓弓と咽頭嚢からできてくると言われており、これらの発生(お母さんのお腹の中での成長)の過程で体の中に閉じ込められ、取り残された細胞が元になって袋(風船)状のできもの(嚢胞:外側が薄い膜で覆われたこぶ状の塊)ができることがあります。これら首の先天性頚部腫瘤(生まれつきにできる首のできもの)は症状などによりいくつかの病名で区別されていますが、首の正中にできるものは正中頚嚢胞(あるいは胎生期の器官名から甲状舌管嚢胞)と呼ばれています。この正中頚嚢胞は先天性頚部腫瘤の約70%を占めるもので、舌のつけ根から鎖骨の上端中央部までのいろいろな場所にできると言われていて、アゴと首の境目付近で首の真中の辺りにできるものがもっとも多いとされています。

嚢胞が小さなうちは無症状に経過しますが、大きくなって来ると(こどものうちは小さく腫瘤の存在に気付かないことも多い)外見上首の膨らみが目立ってきたり、化膿すると急に腫れたり場合によっては小さな穴が開き分泌液が出てくることがあります(生まれつきこのような穴があいている場合もあり、これは正中頚瘻孔と呼ばれています)。また、場合によっては、ものを飲み込みにくいという症状が出ることもあります。

Pagetop

2. 治療法

薬を飲んだり、待っていれば小さくなったり、消えてくるものではないので目立つものや何か症状が有るものは、手術により取り除きます。また、外見上目立たない場合、何も症状がない場合(このような場合には病院を受診していないことが多いと想像されます)経過観察でも良いですが、確定診断には摘出した腫瘤の組織診断(顕微鏡で細胞を調べる検査)を必要とします。

Pagetop

3. 治療により期待される結果

完全な摘出は通常可能ですが、場合によってはわずかな組織の取り残しが生じる可能性は否定出来ず、状況によって再発する可能性も否定出来ません。

手術による傷に関しては、首に横方向の線状の傷が残りますが、首では横方向の傷は皺に隠れて目立たなくなり、首の膨らみも治ります。

Pagetop