形成外科で扱う疾患


埋没耳

1. 埋没耳とは

袋耳ともいいます。耳介(一般に言う耳のことです)の上半が側頭部の皮膚に埋もれ込んだ状態をいいます。指でつまんで引っ張り上げることができますが、指をはなすと元に戻ってしまいます。埋もれている部分の軟骨には頭側に折れ畳まれたような変形があります。片側性のことも両側性のこともあります。片側例では、よくみると反対側の耳介上半にも同様の変形があることがあります。

発生頻度は出生比0.25%前後とされ比較的多い疾患といえます。発生原因としては耳介後面の筋肉の異常によるとする説が有力です。耳介の後面にいくつかの内耳介筋といわれる筋肉があります。イヌなどで遠くの音を聞く時に耳介を立てることができますが、まさにその筋肉の作用によるものです。ヒトではほとんど退化していますが、耳介の形状維持に関与しているされ、これらの筋肉の異常により変形を生じるとするものです。

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2. どうして治療が必要か

耳介の上半部のみの変形なので、聴力への心配はいりません。問題点としては機能的なものと整容的なものに分かれます。機能的には耳介上半が埋もれているとマスクのゴムや眼鏡のツルなどがかけられないため、学校での活動、学業に支障をきたすことが考えられます。整容的とはかたちの問題ですが、日本では耳介の形状には比較的に寛容なために、それほど深刻にならなくてもよいかもしれません。

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3. 治療法とその効果

装具による矯正治療と手術治療にわかれます。

指でつまみあげると容易に引き出せる場合は矯正治療が可能です。要は、つまんで引き出した状態を保てば良いわけで、洗濯バサミでつまんだ状態を想像して下さい。このために簡単な装具を形状に応じて医師が作成しますが、専門業者に依頼することもあります。一般に満1歳以下が良い適応です。それ以降では、お子さんが嫌がって装具をはずしてしまったりしてうまく行かないことが多いのですが、状態によって異なりますので医師と相談して下さい。矯正治療は簡便ではありますが、耳介軟骨そのものの変形は十分には修正できないこと、皮膚の余裕が少ない場合はうまくいかないのが欠点です。また、装具の装着中は、皮膚がかぶれたり、化膿することがありますので、定期的に医師の診察が必要です。

装具治療が奏功しなかった場合や、幼児期に初めて形成外科を受診された場合は手術による治療を行います。適応年齢は3歳くらいから就学前後です。手術の基本は耳介上半を伸ばした状態に保つことです。この部の軟骨の変形を矯正する為に軟骨の切開縫合、時には移植などを行います。この操作により耳介後面と側頭面に皮膚の不足を生じます。この不足に対して周囲から皮膚を移動してきたり植皮を行う必要があります。手術法としては様々なものがありますが、変形の程度、反対側との比較、両親のご希望などを加味して選択されますのでよく医師に相談して頂くことが大事です。

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