形成外科で扱う疾患


先天性眼瞼下垂症

1. 疾患の解説

先天性眼瞼下垂症は両側性と片側性の場合があります。正常人の上眼瞼の挙上は、主に上眼瞼挙筋(挙筋)の収縮で行われ、ミュラー筋、上直筋、前頭筋の収縮がそれを補っています(図1A)。先天性眼瞼下垂症では、上眼瞼挙筋が先天性に不完全(図1B)あるいは完全(図1D)に欠損しているために、正面視で瞳孔上まで上眼瞼を重力に抗して挙上できない状態となります。多く患者さんは、補助筋であるミュラー筋、上直筋、前頭筋の収縮を利用して、上眼瞼を挙上するだけでなく、下直筋を利用してCP膜を介して下眼瞼も退縮させています(図1B,D)。この代償が、片側性の下垂では患側で、両側性の場合は両側で観察されます。上眼瞼の挙上が困難で、下眼瞼の退縮は容易なので、下眼瞼の退縮は代償的に亢進しています。従って、多くの患者さんは顎を上げて、下眼瞼を利用し開瞼しています(図2A)。

診断は、頭を真っ直ぐ立てた正面視(図2B)、そして上方視(図2C)してもらうと、眼球は上転しますが、上眼瞼は挙上されず、瞳孔が隠れてしまうことで分かります。眉毛の上を手で押さえて眉毛が動かせない状態にして正面視してもらうと(図2D)、上眼瞼の挙上がほとんどできなくなることでも診断されます。

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2. 治療法

残っている上眼瞼挙筋を短縮し瞼板に縫合する挙筋短縮術と(図1C)、上眼瞼挙筋が無く前頭筋の動きを利用して前頭筋と瞼板の間に腱を移植する前頭筋吊り上げ術とに分けられます(図1E)。前者では、術直後より瞼が開いたまま(兎眼)に仕上げます。後者では、移植腱が術後短縮しますので術直後は開かなく術後6週位でやっと開瞼できるように仕上げます。

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3. 治療による期待される結果

挙筋短縮術は(図1C)、基本的は兎眼に仕上げるために、ギューと力を入れて閉瞼するために、閉瞼できるところまで、短縮部が伸びてしまう場合が多いので、何度か短縮術を追加する必要が出てきます。また、兎眼の程度が前頭筋吊り上げ術より大きいので角膜の傷害に注意する必要があります。

前頭筋吊り上げ術は(図1E)、上記方法で行うと、閉瞼時の兎眼は挙筋短縮術より少なく、正面視、上方視と上眼瞼は前頭筋の動きに連れて挙上されますが、下方視でも前頭筋が収縮した状態が続くと、上眼瞼の下がりが悪い欠点もあります。

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