形成外科で扱う疾患


頭蓋骨縫合早期癒合症

1. 疾患の解説

赤ちゃんの頭蓋骨は大人と異なり、何枚かの骨に分かれています。柔らかい脳の表面に何枚かの骨が島の様に浮いていると表現した方がわかりやすいかもしれません。骨と骨とのつなぎ目を頭蓋骨縫合と呼びます(図1)。乳児期には脳が急速に拡大します(生後1年で約2倍の大きさになります。)ので、頭蓋骨もこの縫合部分が広がることで脳の成長に合わせて拡大します。成人になるにつれ縫合部分が癒合し強固な頭蓋骨が作られるわけです。

頭蓋骨縫合早期癒合症とは、何らかの原因で頭蓋骨縫合が通常よりも早い時期に癒合してしまう病気で、狭頭症とも呼ばれます。頭蓋骨縫合が早期に癒合してしまうと、頭蓋骨の正常な発育が阻害されるため頭蓋が狭くなる、頭蓋骨が変形する等の変化が生じます。

頭蓋の変形は早期癒合が起こった縫合線と密接な関係があり、長頭、三角頭、短頭、尖頭、斜頭などがあります(図2)。

またクルーゾン症候群やアペール症候群といった、頭蓋骨縫合早期癒合症に顔面や手足の先天異常を合併する病気もあります。こうした症候群では、頭蓋骨の変形だけでなく水頭症や頭蓋内圧の上昇を認める例も少なくありません。

赤ちゃんの頭蓋骨は、子宮内での圧迫、産道を通る際の圧迫、また寝癖などの外力で容易に変形します。こうした外力による変形は自然に改善することが多いので心配ありませんが、頭蓋骨縫合早期癒合症との鑑別が大切です。お子様の頭の形がおかしいとご心配な場合は、専門の形成外科や小児脳神経外科の受診を勧めます。

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2. 治療法

頭蓋骨縫合早期癒合症は放置すると頭の変形が残ってしまうばかりでなく、脳組織の正常な発達が抑制される可能性がありますので、適切な時期に手術が必要と考えられています。手術の目的は狭くなった頭蓋を拡大することで脳が成長できる環境を整えてあげることと、頭の形を正常にするという美容的な意味合いがあります。

頭蓋骨縫合早期癒合症の種類により様々な手術法があります。また年齢によっても術式は変わります。通常、脳外科の手術のように頭皮を大きく切開し、変形している部分の頭蓋骨を切り、正常の頭蓋骨に近い形に組みなおす手術が行われています。乳幼児の骨の固定には、できるだけ異物として残らない吸収糸や吸収性のプレートが用いられます。最近では、骨延長器を用いた手術や、内視鏡下で骨切りを行いヘルメットで頭の形を矯正するなどの侵襲の少ない術式も開発されています。

クルーゾン症候群やアペール症候群などいわゆる症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症では、顔面の低形成があるため気道が狭く呼吸困難を認めることがあり、眼球突出や反対咬合を伴います。したがって頭蓋の手術だけでなく、顔面骨を骨切りし適切な位置へ移動させる手術が必要になります。

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3. 治療により期待される効果

手術によって狭くなった頭蓋が拡大されるので、頭蓋内圧の正常化が得られ脳組織の発達が期待できます。また変形した頭蓋の修正による美容的改善が得られることで、子供が社会生活を円滑に営む助けとなります。症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症では顔面骨の手術により気道が拡大し呼吸機能が改善し、また眼球突出を含めた顔貌の著しい改善が得られます。

手術の合併症としては出血、感染、髄液瘻、髄膜炎などがあげられます。形成外科、脳神経外科、麻酔科などがチームで治療に当たれる体制が必要です。

単純な頭蓋骨縫合早期癒合であれば、適切な時期に適切な手術が行われれば一度の手術で治療は完結することも期待できますが、症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症などでは複数回の手術が必要になることもまれではありません。頭蓋顔面の形態は年齢により変化しますので、長期にわたる経過観察が必要です。

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