疾患紹介~こんな病気を治します!


口蓋裂とは

口蓋裂とは

癒合不全が口蓋の後方部のみにとどまる口蓋単独裂と、口唇や顎裂(歯槽堤の裂)を伴う唇顎口蓋裂とがあり、更に唇顎口蓋裂には片側のみの場合と両側の場合があります。この裂の状態によって、治療方法も異なります。

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手術(口蓋形成術)の目的

口蓋形成術の目的は次のものです。

  1. 口蓋裂を閉鎖することにより、食物や飲み物が鼻に流れ込んでしまう状態をなくし、哺乳や摂食を容易にします。
  2. さらに重要なこととして、これから言葉を覚える赤ちゃんが、順調に正しい発音を覚えられるように口の中の環境を整える、という大きな目的があります。
  3. 口蓋裂の患者さんは中耳の換気をおこなう耳管の開閉機能に関与する筋肉に、走行異常があり、このために中耳炎を起こしやすくなっています。(口蓋裂のお子さんの約80%に中耳炎を合併しています)。口蓋裂の手術を受けると中耳炎の原因となっている筋肉の走行異常はある程度改善します。

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手術の時期と大切な点

口蓋裂の手術時期と手術法は次の2点を考慮し決定します。

  1. 手術が赤ちゃんの上顎に与えるダメージにも考慮する。その影響による上顎の発育障害をいかに回避するかという点を考える。
  2. 言語の獲得に適した良好な機能・形態を何歳までに得るかという点 を考える。

これらの観点から1歳から1歳半ごろに口蓋裂手術を行うのが多くの施設で一般的となっています。 しかし最近手術時期を早める施設も徐々に増えてきています。口唇裂の閉鎖手術と口蓋裂の閉鎖手術を同時に行う施設では生後6ヶ月でこれを行うことが多いようです。

ただしそのような施設では顎裂や口蓋裂の裂幅を狭小化する術前顎矯正装置を使用しています。装置を手術前に赤ちゃんの口腔内に装着することにより、顎裂・口蓋裂が狭いものになり、早期の手術が可能になっています。

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手術法

手術自体は口の中に限局したもので決して大手術ではありませんが、手術の部位が喉の奥であるため、術後の腫れや出血などが大きな危険につながりやすく、比較的危険度の高い手術です。 多くの施設では、手術後に1日から数日程度は集中治療室(ICU)に入室させているようです。

  • 全身麻酔に伴う合併症
  • 術後の腫れによる呼吸不全
  • 術後出血による気道閉塞
  • 誤嚥性肺炎
  • 術後出血による輸血や再手術

などが起こり得る合併症です。

口蓋裂の治療には、いろいろな手術方法が過去にありましたが、現在広く支持されている方法は次の2種類です。

ファーラー法(Furlow法)
口蓋の粘膜骨膜を剥離し、これを引っ張って中央に寄せることで裂を閉鎖します。
術後に粘膜・骨膜で覆われていない傷口がない点で優れています。これにより手術後の赤ちゃんの上顎の発育は良好であるとされています。
言語機能の改善は良好で、Push Back法と同等の結果が得られています。
しかし裂幅の狭い症例でないとこの方法は適用できません。
従って口蓋裂の裂幅を狭くする術前矯正とセットにするような治療方針でこの方法を用いる施設が多いようです。
プッシュバック法(Push Back法)
口蓋の粘膜と骨膜を一緒に剥離して中央に移動し、裂を閉鎖する方法です。
中央の裂がふさがる一方で、両側には粘膜・骨膜で被覆されない露出部分ができます。
原法ではこの部分はそのまま傷口としておき、自然治癒するのを待ちます。
伝統のある術式で、信頼性が高く、言語発達に対する治療効果も安定しているといわれています。但し顎発育に対する影響が大きく、術後に顎発育不全が出現することがあるとされています。

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言語(赤ちゃんの言葉の機能)

口蓋裂を手術した患者さんにとって最も大切な問題は軟口蓋(口の中の天井部分で最も奥の方)の機能です。

図2
図2

ここには筋肉があり、口蓋裂のない赤ちゃんの場合には飲み込んだ食物や飲み物が鼻に入り込まないように鼻へ回る通路を閉鎖するような運動をしています。(図2
やがて言葉を話すようになると、子音の発音を作るという最も大切な機能を果たすようになります。

カ行、タ行、サ行などの子音は口の中の圧力を高く保ち発音する必要がある子音ですから、このような音のある言葉を話す時には、軟口蓋の筋肉を使って鼻に息が漏れないように閉鎖しなければなりません。この機能は鼻咽腔閉鎖機能と呼ばれ口蓋裂の手術を受けた患者さんでは最も問題であると同時に最も大切な機能であるといえます。

口蓋裂手術の方法は進歩しましたが、それでも筋肉の量の不足や軟口蓋の長さの不足などがあり、問題の残る赤ちゃんもいます。
また、正常言語獲得には、鼻咽腔閉鎖機能だけでなく、良い形態の上顎や良い歯列、口蓋の言語に影響するような位置に穴の残っていないことなど、いくつかの要素が複合的に関係していますから言語聴覚士による評価とトレーニングは必ず必要です。

写真21
写真21

各施設の形成外科にある口唇口蓋裂診療チームでは、経験の豊富な言語の先生が治療に当たっています。
言語訓練室が形成外科の外来診察室に隣接して設置されている事が多いようです。
言語治療のスタッフは、形成外科医や耳鼻科医、矯正歯科医、小児歯科医と連絡を取りながら、丁寧に診療を行っています(写真21)。

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