疾患紹介~こんな病気を治します!


唇裂手術

唇裂手術

口唇裂には写真のように様々な程度のものがあり、裂と呼ばれる割れ目の長さによって、口唇のみの不全唇裂と鼻孔の中まで裂のある完全裂とに分類されます。

また両側タイプか片側のみのタイプかによる分類もされます。さらに、裂が口唇のみに存在する口唇単独裂、歯肉に及ぶ唇顎裂、口蓋にも及ぶ唇顎口蓋裂などがあります。

  • 写真10)片側完全唇裂と顎裂、口蓋裂
  • 写真11)両側完全唇裂と顎裂、口蓋裂
  • 写真12)片側唇顎裂
  • 写真13)両側唇顎裂

また、唇裂による影響は鼻の形態にも大きく関与し、通常、赤ちゃんは鼻にも変形が存在しています。非常に軽度の口唇裂の赤ちゃんでは鼻のみに変形の出現している事があります。

口唇を閉鎖する手術のことを口唇形成術、ないし唇裂形成術と呼びますが、手術は生後3ヶ月から6ヶ月頃に行われます。(写真14)。
口唇のみの手術(鼻の手術も含みます)では比較的早く行われることが多く、生後3ヶ月以降体重5Kg以上を条件に手術を計画する施設が多いようです。

一部の施設では生後2週間以降で手術を行う早期手術も試みられています。
また、口蓋裂に対して行う口蓋裂手術を口唇裂の手術と同時に行う口唇口蓋同時手術も最近では複数の施設で行われるようになっています。
この口唇口蓋同時手術は生後6ヶ月の時期に行う施設がほとんどです。

Pagetop

手術方法

唇裂の治療には、いろいろな手術方法が考案されています。
片側唇裂の場合、現在最も多くの施設で用いられているのは2種類です。ひとつはミラード法とその仲間のグループ、もう一つは三角弁法です。その両者を組み合わせたミラード法+三角弁法というのが最も多く用いられているようです。

両側唇裂の場合はマリケン法、デ・ハン変法、マンチェスター法、などで手術が行われています。
手術法はそれぞれの施設により異なりますし、赤ちゃんによっても異なります。その理由は次のようなものです。

まず、なんといっても赤ちゃんそれぞれの口唇裂の型、割れ目の長さや裂幅などの個人差です。これによりそれぞれ最も適した手術法が選択されます。

また、それ以外に

  1. 手術前に行う顎矯正をどうするか、
  2. 術前の鼻の形の矯正をどうするか、
  3. 術前に裂幅を狭くするかどうか、
  4. 口蓋裂と口唇裂を別々の手術でおこなうのか同時手術するのか、
  5. 顎裂の縫合処理をすることで二次骨移植手術を避けるような方法を行うかどうか、

などでも手術法が異なってきます。

国内の各施設それぞれに歴史と治療経験があり、考え方の差や得意な方法の差などもあることから、これらの考え方や手術法の国内での統一はされていません。

この手術は形成外科の歴史が作り上げた非常に高度な技術の集大成と呼べるものですが、同時に医師の個人的技量に負う部分が大きいため、最も良い方法はどれかを単純に決める事ができないのです。それぞれの主治医の先生に考え方を良く聞いて、詳しい説明をしてもらいましょう。

この手術を計画する上で大切なことは次のようなことです。

  1. 縫った傷跡が目立たないこと。
  2. 唇の筋肉を正しく縫い合わせること。
  3. 左右のバランスの取れた形態を再建すること。
  4. 手術は根気よく何回かに分けておこなうこと。(2次修正、3次修正の手術を受けることを考慮することです)

Pagetop

口唇裂形成二次手術

口唇裂の手術は初回の1回だけで完了ということもまれにはありますが、不完全裂で裂が浅い場合など、変形が少なく左右のバランスも良好な患者さんの場合に限られます。

通常は良好な形態を得るためには2回、3回の手術が必要になります。一度手術を受けた口唇も、だんだん成長に伴って上下方向の長さのバランスや横幅などに変化が出て来る患者さんがいるためです。健常側と裂側とで成長の量や方向が微妙に異なる事もその理由のひとつです。

また、左右対称なバランスの取れた再建は赤ちゃんの時の一次手術の時にはしばしば非常に困難です。
完全裂や完全裂に近い深い裂の口唇の場合には、裂の生じている側の口唇がとても小さいため、これを修正することは、赤ちゃんの時の手術(初回手術)だけでは限界があるのです。

口唇裂の二次手術には様々なものがあります。

  • 口唇の傷跡が目立つ場合これをきれいにする手術
  • 口唇の上下、左右的バランスの取れていないものを改善する手術
  • 口唇の筋肉の再縫合により口唇の形の改善と鼻の形の改善を得る手術

などに分類されます。

この手術は傷跡の修正としても、上下の口唇のバランスが改善する点でも、また口唇の手術には年齢と手術時期との関連や制限があまり無いといえます。
むしろ手術時期を決めるのは、小学校の入学前に、あるいは中学、高校の入学前になどの考えかたでしょう。

ただし、口唇の形態、特に突出感や後退感などや下口唇と比較した前後的バランスなどは前歯の影響をかなり受けています。
つまり矯正歯科治療により患者さんの前歯の位置が修正されたり、捻れて突き出していた前歯が修正されたりすると、口唇の感じはかなり変わるということです。
従って手術の時期は矯正治療の結果を待つか、その結果を見越した手術デザインを行うことが重要になるでしょう。

Pagetop