疾患紹介~こんな病気を治します!


脂肪吸引、体内異物(人工物)

脂肪吸引

1.脂肪吸引法とは

脂肪吸引法は、1970年代後半にフランスではじめられ、日本でもすでに25年以上の実績がある治療法です。外見上気になる部位の皮下脂肪を陰圧ポンプで吸引除去し、美しい体のラインを得るという単純で効果的な方法ですが、体重減少を目的とした痩身のための方法ではありません。

2.治療法の実際

脂肪吸引法を行うには吸引できる皮下脂肪があるということが条件です。皮下脂肪が余分に付いていればどの部位でも吸引可能ですが、一般的には頬部、頚部、上腕、腹部、腰部、臀部、大腿、下腿です。皮膚のタルミの有無も重要な条件です。タルミがあれば皮下脂肪を吸引した分だけタルミが目立ってしまいます。また、一度に大量の脂肪吸引を行うと、出血量が増え、合併症の危険度が高くなりますので無理をしないことが重要です。

麻酔は吸引部位やその範囲によって局所麻酔や全身麻酔など適切な方法を選択します。吸引口は目立たない部位に数mm切開するだけです。

合併症として、感染や血管塞栓症、内臓の破損、漿液腫、知覚異常などが報告されています。また、傷跡は小さいのですが、体質によっては目立つこともあります。

3.脂肪吸引機器の種類

一般的には、陰圧ポンプと2~6㎜のカニューラ(吸引管)を用います。超音波やレーザーを併用して吸引の補助を行う場合もあります。少量の吸引の場合はシリンジ(注射筒)を用いることもあります。

体内異物(人工物)

美容外科では、身体の形を整えたり(乳房や鼻など)、顔面の凹みやしわを解消したりするために、異物(人工物)を体内に入れることがあります。しかし、異物の種類によっては強い異物反応を惹起して腫瘤を形成したり、皮膚が炎症を起こして潰瘍化したりすることがあるため注意を要します。

体内異物には、固形、ジェル、液体、ジェルや液体を固形のバッグに封入したものがあります。ジェルや液体の注入物はフィラーと呼ばれることもあります。また、生体内でいずれ吸収されるものと、完全には吸収されないものがあります。

1.顔面のしわや凹みの修正術

吸収性異物にはヒアルロン酸やコラーゲンなどがあります。これらは注入後数か月から1年で大部分が吸収されて元に戻ります。非吸収性異物にはポリアクリルアミドやポリメチルメタクリレート、吸収性と非収性物質の混合物などがあります。これらは、異物自身のボリューム、あるいは異物反応により生じる肉芽が半永久的に残ることを期待して注入されるものですが、合併症も少なくありません。

2.隆鼻術

シリコンプロテーゼを入れる方法が比較的安全ですが、炎症や感染が起こると皮膚から露出することがあります。非吸収性ジェルなどの注入は、肉芽腫となった場合に摘出が困難になるので現時点ではすすめられません。ヒアルロン酸などの吸収性異物の注入は一時的な隆鼻です。なお、異物ではなく自家組織(自分の肋軟骨や耳介軟骨など)を使う方法もあります。

3.豊胸術
(1)注入法の時代
戦後の日本でパラフィンやワセリンなどの炭化水素系異物、シリコンオイルやシリコンジェルなどのシリコン系異物の注入が行われました。しかし、がんと区別できない腫瘤が生じたり、異物が全身に転移したりすることがあり、さらに異物が引き金となって免疫に異常をきたすことがありうる(ヒト・アジュバント病)とされ、社会問題になりました。
(2)シリコンバッグの時代
1970年以降は、シリコンジェルをシリコンゴムなどの袋に封入したシリコンバッグを、乳腺の下か大胸筋の下に入れる方法が行われました。しかし、バッグの周囲に硬い膜(カプセル)が生じたり、バッグが破れたり、内容物が漏れたりして、注入物と同じような障害が残ることがありました。1990年代に入って、アメリカのFDA(日本の厚生労働省のような機関)がシリコンバッグを禁止したため、日本も追随しました。
(3)生理食塩水バッグの登場
生理食塩水をシリコンゴムなどのバッグに封入したもので、破れても安全というふれこみで登場しました。しかし、触感に違和感があり、リップリング(バッグが折れて外からわかる)を生じることもあります。
(4)ハイドロジェルバッグの登場
欧州などではシリコンバッグは禁止されず、またポリサッカライドというハイドロジェルをシリコンバッグに封入したハイドロジェルバッグも、乳癌の発見に有利との触れ込みで市販されました。ただしバッグが破損して内容物が漏れた場合の安全性は保証されていません。
(5)コヒーシブシリコンバッグの登場
21世紀に入ると、破れても内容物が流動しないコヒーシブシリコンバッグが製造され、乳房再建と22歳以上の女性の豊胸に用いる材料としてFDAの認可が下りました。従来のバッグの中では最も性能の良いものと考えられますが、完全に安全であるという保証はまだありません。
(6)注入法の復活と問題点
最近、ヒアルロン酸やポリアクリルアミドを乳房に注射する豊胸術が行われています。また、自家脂肪を採取して注入する方法を行っている医療機関もあります。これらの方法は皮膚の切開を必要とせず、注射だけで目的を達せるように思われますが、豊胸術など大量の注入では、注入物の感染や強い異物反応、注入脂肪の壊死などの問題を生じることがあります。壊死した脂肪はパラフィンなどの炭化水素系異物と似たような物質になり、がんと判別が難しい腫瘤となったり石灰沈着をきたしたりすることがあります。
4.その他の部位の治療

額や顎、臀部、男性では陰茎などに異物を入れることがあります。男性の勃起障害の治療のためシリコンを入れることがありますが、勃起障害は疾患であり、泌尿器科の専門医の診察が必要です。

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